少年野球の投手と野手
少年野球の投手と野手
--今回の記事は過去の記事を編集・再掲しています。--
少年野球はチームスポーツですが、
チーム内ではいろんな立場があり、
チームメイトはライバルでもありますから、
同じように練習や試合をしていても、感じることは全然違ったりします。
たとえば、少年野球の投手と野手では、考えることが違ってきます。
投手は、打たれたくありません。当然です。
自分が投げた球が打たれること程、投手として嫌なことはありません。
たとえ打ち取ったとしても、当たりがよければヒヤッとしますし、
次の打席の時には投げにくいものです。
だからこそ、しっかり毎回打ち取っていきたいと考えます。
しかし、野手は「ある程度は打たれてほしい」と思っています。
そうしないと、野手の出番が無いからです。
野手的には「打たせて取る」投手が一緒にプレーして楽しく、
完全に一人でねじ伏せてしまうタイプの投手は退屈なものなのです。
特に低学年ではこの傾向が顕著です。
こういった考えの違いは、試合や練習を見ている親も同様です。
完全にチームの勝ち負けにコミットしているなら問題はないですが、
我が子の頑張りを見に来たのに、打撃は振るわず、
守備でも出番が無いと面白くありません。
せめて、守備の際にボールが飛んで来てくれたらいいのに。
ついついそう思ってしまうという話もよく聞きます。
野球というスポーツでは、投手は特別な存在です。
野球の試合の中で、最も多くボールに触れることができるのが投手です。
必然と、人気のポジションになります。
そのため、能力的に優れた子が投手になることがほとんどで、
実際、チームの守備力は投手の能力に依存します。
プロ野球のドラフトでも、基本的にドラフト一位は投手です。
ドラフトで一位に野手が来るのは、余程のスター選手候補だけです。
そのため、プロになれる可能性が最も高いのはやはり投手なのです。
一方の野手はポジションごとに役割は違うのですが、
「投手」と「野手」というくくりにされてしまうことが多いです。
そのため「その他大勢」というような位置にされがちで、
つまらなく感じる子もやはりいるようです。
実際、野手がしっかり守れるチームは強いチームで、
投手だけで勝てるということは無いのですが、
どうしても軽視されてしまう傾向があるようです。
投手は個人の能力が目立つのに対し、
野手はチーム全体で守備を行なうため、
個人が注目されにくいという違いがあります。
多くの野手は自分のプレーを見てほしいのです。
だから、全くボールが飛んでこないのは面白くありません。
しかも、いざボールが来たときには責任重大で、
エラーでもしようものなら大変ですから、
なかなかボールが来ない状況は非常に困るのです。
ある程度の年齢になれば、投手と野手の差はどんどん広がり、
より打撃練習に時間を避ける野手は、
投手の子よりも打撃がよくできるようになります。
しかしながら、少年野球の段階では、
「エースで4番」というような立場が多く、
打撃においても投手の子が目立ってしまうこともあります。
結果、チームの「王様」として君臨するようになります。
これがまた、野手の子たちにとっては面白くなく、
しかし実力は認めざるを得ないという、
複雑な気持ちになるものなのです。
投手の子は余程打ち込まれない限りは、
野手の子に対して気後れすることはないのですが、
野手は投手に対してライバル意識や気後れを感じることが多い、
それは見る人も覚えておくと良いでしょう。
そんな子たちのガス抜きをするためには、
時々遊びでも良いので、投手をさせてあげるのが得策です。
これは少年野球選手たちにとっても楽しいですし、
そして指導者側としても、新しい適性の発掘の場にもなります。
本職ではないけどよくやった子には、
積極的に声をかけて褒めてあげてほしいと思います。
また、野手が投手の子に対して、
敵意ではなく敬意を持つキッカケになったり、
また野手の存在感や価値を感じる機会にもなるので、
チームワークを作っていく上でとても有意義です。
少年野球においては、あまりポジションを固定するよりは、
いろいろと試してみることも、年齢が低いうちは大切で、
その中で野球というスポーツを深く理解するようになります。
投手の大変さ、野手の大変さ、お互いの気持ち、
そういうものは、まだ推し量るのが難しい年齢ですから、
教えるよりも体験させることが一番です。
やってみて理解できることがあり、
それによって通じることができるようになり、
また見る中でも勉強できるようになっていきます。
立場の違う投手と野手だからこそ、
壁を作ってしまわないように、
互いを理解する時間を作ってあげるのも大切なことです。
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